2025-7-16

  

Early Work

MACK, 2025

Stephen Shore(スティーブン・ショア)

スティーブン・ショア(1947-)は、70年代初期からカラーでシリアス作品に取り組んだ、ウィリアム・エグルストンとならぶニューカラーの代表的写真家の一人です。また日記的スナップショットや、客観的な風景写真のパイオニアとしても知られています。幼少から写真を撮り始め、60年代にはアンディー・ウォーホールのファクトリーに出入りして写真を撮影、1971年にはメトロポリタン美術館で個展を開催した初の現存写真家となります。 1970年代から米国中を旅行して、地方都市の消えゆく原風景を撮影。35ミリカメラで撮影した写真によるロードムービー的作品の"American Surfaces"、大型8X10 ビューカメラによる"Uncommon Places"を発表します。
彼の作品は、カラーの巨大風景作品を制作するアンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートなどの現代アート系作家にも多大な影響を与えています。2017年11月から2018年5月までニューヨーク近代美術館(MoMA)で、キャリアを新たな視点から広範囲に紹介する展覧会が開催されています。

ショアは6歳の時に、コダックの暗室キットをプレゼントされました。この贈り物は、彼の生涯を形作る情熱と探求心を呼び覚まします。彼は、写真が生まれる暗室の化学的変化とカメラそのものとの間に、独自の関係を築き始めました。彼にとって、カメラは周囲の世界のキャラクターと複雑さを解き明かすためのツールとなったのです。

本書は、ショアが1960年から1965年の思春期初期に制作した、これまで一度も公開されたことのない写真を初めて集めた作品集です。この期間は、アンディ・ウォーホルとザ・ファクトリーで働く前の時代で、彼は様々な実験を試みていました。これらの洗練された野心的な作品は、ショアが既に写真形式に対する複雑な理解を有していたことを示し、彼が周囲の環境に対して注いだ特別な関心を浮き彫りにしています。また1960年代初頭のニューヨークの活気あるエネルギーを独自の視点で記録した作品であり、若き写真家が常に興味を抱き続けたテーマを明らかにするものです。 何よりも本書"Early Work"は、ショアが幼少期から自身の芸術的技能だけでなく、周囲の世界に対して持っていた先天的な感性を明らかに提示しています。

ペーパーバック : 172ページ、サイズ 21.5 x 25.5cm、多数の図版を収録



Stephen Shore