2026-6-16

  

Helen Levitt

Thames & Hudson , 2026

Helen Levitt(ヘレン・レヴィット)

ヘレン・レヴィット(1918-2009)は、ニューヨークのストリートシーンを60年以上に渡り撮影してきた女性写真家。ウォーカー・エバンスに写真を学び、小型ライカでの写真はアンリ・カルチェ=ブレッソンのスタイルに多大な影響を受けています。彼女は、人種の坩堝である大都市のストリートで繰り広げられる人々の営みを、優しい視点で撮影。 特に30~40年代のハーレムでのスナップショット、1959~1960年のカラー作品で高い評価を得ています。代表作に、今やレア・フォトブックとなった高価な"A Way of Seeing"(1965年刊)があります。
彼女は街の演劇的な雰囲気や即興性にインスピレーションを見出し、都市生活の日常的な瞬間を捉え、 自身の日常の観察の蓄積から、独自の視覚スタイルを築き上げています。レヴィットの視点は、街中で起こる、優しさやいたずら、そしてコミュニティと見知らぬ人との間の緊張といった、はかない出来事に引き寄せられます。歩道でチョークで絵を描く子供たち、玄関先で談笑する高齢者、地下鉄に乗る労働者たち。人間の仕草や動きに対する鋭い温かさと感性を放つ彼女の写真は、小説家ジェームズ・エイジーの言葉によれば、「真のフォークアートが持つ純粋な自然さ」を捉えています。

本書は、スペインの「マフレ財団(Fundación Mapfre)」の美術館とオランダのクンストハル美術館ロッテルダム(Kunsthal Rotterdam)が主催した2025~2026年の大規模巡回展「City at Play」展開催に合わせて刊行された、彼女の全キャリアを紹介する包括的なカタログです。故郷ニューヨークで撮影された最も有名な写真に加え、ライカを手にして最初の1年間に撮影された、貴重な初期作品や、彼女の代表作"A Way of Seeing"初版に掲載された全50点の写真(レヴィット自身が保管していたプリントを含む)も収録されています。
多角的な視点を持つ専門家や研究者によるエッセイでは、レヴィットの生涯と作品における重要なテーマ、技術的側面、伝記的側面が取り上げられています。具体的には、1941年のメキシコ旅行中に撮影した写真、1950年代の革新的なカラー写真の活用、そして1980年代の晩年の作品などが分析されています。本書は、20世紀で最も影響力のある写真家の一人である彼女の真髄に迫る一冊となっています。

ハードカバー: 304ページ、サイズ 24.89 x 2.79 x 28.96 cm、図版356点(カラー77点)収録



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