米国経済はFRBが継続的に利上げが行なっているものの引き続き順調に推移しています。
ここ数年ずっと好調だったアート写真オークションは2005年秋もその勢いは衰えませんでした。主要オークションハウスの売り上げ総額はなんと約3千万ドル(@120、約36億円)でした。市場関係者の中にはアート写真市場は全く新しい世界に突入したというため息交じりのコメントも聞かれました。
活況を呈しているオークションを象徴しているのが、エドワード・ウェストンとドロシア・ラングのヴィンテージ・プリントが写真のオークション最高落札価格を記録したことです。
10月10日のササビーズ・オークションでエドワード・ウェストン(1886-1958)の1921年のプラチナ・プリント作品"The
Breast"が予想落札価格上限$400,000(@120/\48,000,000.) を大幅に上回る$822,400.(@120/\98,688,000.)の20世紀写真のオークション最高値で落札されました。
この作品は後のメキシコ時代にウェストンのパートナーとなるイタリア人女優、写真家のティナ・モドッティを撮影した非常に希少なヌード作品です。現存するプリントは僅か3枚といわれているそうです。
10月11日には同じくササビーズ・オークションでドロシア・ラング(1895-1965)の1933年作のシルバープリント"White
Angel Bread Line"が予想落札価格上限$300,000(@120/\36,000,000.)を大幅に上回る$822,400.(@120/\98,688,000.)と前日と同価格の競売最高値で落札されました。これは大恐慌時の写真で、食料の無料配給を待つ列に一人背を向けている男性を通して貧困の中の威厳と孤立を撮影した名作です。作家からシカゴの科学工業美術館に寄贈されたという来歴もしっかりしている作品です。
コンテンポラリー作家もオークション最高値が次々に更新されました。
クリスティーズでは、ホルストの代表作"Mainbocher Corset、1939"が$216,000.(@120/\25,920,000.)、リチャード・アベドンの雑誌LOOKの表紙を飾ったビートルズのイメージ"The
Beatles,1967"のダイトランスファー作品が$464,000.(@120/\55,680,000.)、ピーター・ベアードの"Self
Portrait for Centre Nationale de la photographie,1996"が$192,000.(@120/\23,040,000.)、アーヴィング・ペンの"Woman
In Moroccan Palace"が$307,200.(@120/\36,864,000.)、 ロバート・メイプルソープのプラチナプリント作品"American
Flag, 1987"が$216,000.(@120/\25,920,000.)、などが落札されています。またエドワード・カーティスの
"The North American Indian, Portofolio"のポートフォリオ完全セットが米国において初めて百万ドルを超え、予想落札価格上限$600,000(@120/\72,000,000.)を大幅に上回る$1,416,000.(@120/\169,920,000.)の高値で落札されました。
その他の作家ではアンリ・カルチェ=ブレッソン、ブラッサイなども最高落札価格を記録しました。
ササビーズではアンドレ・ケルテスの有名作"Chez Mondrian,1926"の貴重なヴィンテージ・プリントが$464,000.(@120/\55,680,000.)で落札されました。
フィリップス(Phillips de Pury & Luxembourg)では、ゲイリー・ウィノグランドの代表作である"Women
are beautiful"のポートフォリオが予想落札価格上限を大幅に上回る$120,000.(@120/\14,400,000.)の作家最高値で落札されました。
その他では、MoMAで本格的回顧展が開催されたリー・フリードランダーや、ダイアン・アーバス、ウィリアム・エグルストン、ロバート・フランク、ルイス・ボルツなどが人気でした。現代アート分野ではフィリップ-ロルカ・デコルシア、杉本博司などが相変わらず好調でした。通常は現代アートオークションに出品されるアンドレアス・グルスキーのサッカー場を撮影した作品はフリップスのオークションで$291,520(@120/\34,982,400.)で落札されました。
Art Photo Site 福川芳郎