Mona Kuhn:
She Disappeared in Complete Silence

Steidl, 2018

Mona Kuhn(モナ・クーン)


モナ・クーン(1969-)は、大判フォーマット・カメラで制作される、まるで夢のような感じの色彩豊かなヌードやポートレートで知られるブラジル・サンパウロ出身の写真家です。彼女の作品は、光の利用と洞察力のある表現で、時にクラシカルなテーマを引用しています。その作品制作方法は被写体と近い関係性を構築することが特色。そこから生み出される作品は、驚異的な親しみやすさと自然な感じを持っています。
作品は、J・ポール・ゲティ美術、ロサンゼルス・カウンティ美術館、ハマー美術館、ペリッツ・アート・ミュージアム・マイアミなどに収蔵されています。

最近、彼女は直接的なフォルム表現から、抽象的なフォルムの提示に興味を持つようになっています。本書収録のAcido Doradoシリーズでは、カリフォルニアのジョシュア・ツリー国立公園がもたらす光とフォルムが、抽象作品の創作を後押しています。
撮影場所となったのはジョシュア・ツリー国立公園の果てにある黄金色のモダニスト建築物です。そこの構造上のライン、光の反射、単体の人物像が、カリフォルニアの砂漠を背景に微妙なバランスで撮影されています。作品中の人間の姿は、長年の彼女の友人でコラボレーターのジャシンタ(Jacintha)。その姿は時に断片的で不明瞭、真っ白や陰でつぶれています。それらはまるで超現実的な蜃気楼のようです。ガラスと鏡でできた建物の正面は、アーティストのカメラとレンズが拡張した光学的平面として用いられます。
クーンは、メタリックな金属箔を追加的な表面とすることによって、特定の方向感覚を失わせる効果を推し進め、純粋な抽象効果を生み出しています。
本作で、彼女は自らのテクニックを駆使することによってにより、人物像、抽象、風景を見事に合体させています。

変形ハードカバー(Open-spine softcover with a gilded top edge)
96ページ、サイズ 29.8 x 31.1 cm53点の図版を収録。

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