Chris Killip: The Station

Steidl, 2020

Chris Killip(クリス・キリップ)


クリス・キリップ(1946-)は、英国マン島出身の写真家。1991年から2017年まで、米国ハーバード大学の「Visual and Environmental Studies」で教鞭をとっています。
彼は1973~1985年にかけて、サッチャー政権下で産業空洞化が進行する中で、生き残ろうと悪戦苦闘するイングランド北東部の低所得者コミュニティーを4X5カメラを使用してドキュメントスタイルで撮影。同作は、1988年に「In Flagrante」(Secker & Warburg刊)として発表されます。英国のダークサイドを撮影した作品群は、ロバート・フランクの「The Americans」と比較されることもあります。2016年には、この歴史的なフォトブックを再解釈した新版「Chris Killip: In Flagrante Two」(Steidl刊)が発売されています。

2016年後半、キリップの息子が偶然にも父親が80年代に撮影したコンタクトシートの箱を発見します。それらは、1981~1985年にかけて英国の北東イングランドのゲーツヘッドにあったパンク・ミュージックのライブ会場「The Station」で撮影された作品でした。
本書の刊行で、約30年間渡り眠っていた、ライブの熱狂のなかの素顔の若者たちの写真が蘇りました。「The Station」は、単なる音楽ライブやリハーサルの場所ではなく、当時のサブカルチャーの自己表現とパンク・ポリティクスが凝縮した場所でした。
キリップは、当時を振り返り「私が1985年4月に初めてこの場所を訪れたとき、そのエネルギー感に驚かされました。それは全く異なる空間で、そこに行った人々により、そして彼らのために運営されていました。毎週の土曜日に私はできる限り撮影しました。私がどこから来たか、誰なのかも聞かれませんでした。私は、スライドを入れるためのポケットが中に縫いまれたスーツを着た、刈り込まれた白い髪の39才でした。4X5サイズのカメラを首にかけ、フラッシュとウエストのあたりにそのバッテリーを付けていました。たぶん私は、1950年代のB級映画から出てきたように見えたでしょう。1985年は、鉱山労働者のストライキのちょうど終了した時期でした。多くの若者は失業しており、この場に集まっていたの大部分のパンクも仕事がありませんでした。そして、この場所で仲間として集団的に動くことは、彼らの尊厳にとってとても重要でした」と語っています。

ハードカバー: 80ページ、サイズ 27.9 x 0.6 x 36.2 cm、
約72点の図版を収録。

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