The Light Fades but the Gods Remain

Thames & Hudson, 2020

Bill Henson(ビル・ヘンソン)


ビル・ヘンソン(1955-)は、メルボルン生まれのオーストラリアを代表する現代写真家です。1955年、僅か19歳の時にビクトリア国立美術館(National Gallery of Victoria)で最初の個展を開催しています。彼の絵画的な表現方法には、バロック期のイタリア人画家カラヴァッジョの明暗法のトキアロスクーロ、フランドルの静物画の要素、そしてエドワード・ホッパーの孤独を垣間見るようなタッチなど、文学や絵画の様々な伝統技法が引用されています。
今では彼の作品はオーストラリアにとどまらず、世界中で展示/コレクションされています。1995年には、ヴェネツィア・ビエンナーレでオーストラリア代表を務めています。

本書はヘンソンが育ったメルボルン郊外についての彼の思いを、キャリアの二つのステージの作品を通して提示したものです。本の内容の大部分は、彼が30代だった1985年と1986年に撮影した象徴的なシリーズが紹介されています。それらは彼の典型的な暗く不吉な感じを覚えるスタイルが体現されています。被写体は、郊外の子供のいる家族で、そのほとんどが、社会に出る前の時間を過ごしているティーンエイジャーです。最後11点の写真は、モナッシュ・ギャラリー・オブ・アート(Monash Gallery of Art)での展覧会のための撮りおろし作品です。幼少期過ごした郊外のグレン・ウェイブリーを再訪し、2018年と2019年に撮影されました。これらの写真では、画像は相変わらず暗いものの、以前よりも明るく、より落ち着いたものになっています。かつて子供たちが遊んでいた広い場所の先にある畑や森に焦点が当てられています。しかし、今では彼らは成長してその地を離れてしまっています。それらは、ヘンソンにとって「50年前に消滅した場所」のノスタルジックな光景なのです。彼は2つのシリーズを通して、郊外のライフサイクルの現実を提示し、見る側に考えることを求めているのです。

ハードカバー: 165ページ、サイズ 27.9 x 2.3 x 33.5 cm、
多数の図版を収録。

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