Richard Misrach: Notations

Radius Books, 2022

Richard Misrach(リチャード・ミズラック)


リチャード・ミズラック(1949-)は、米国の様々な政治、社会、文化的問題をテーマに作品を長年にわたり発表している写真家です。代表作に、かつては不毛の地だった砂漠環境が文明化による激変したシーンを撮影した"デザート・カントス"シリーズ、北西ネバダで行われていた爆弾実験をテーマにした"Bravo 20: The Bombing of the American West"、荘厳な空を撮影した"The Sky Book"、美術館の傑作絵画の細部を撮影した"Pictures of Paintings"などがあります。
2001~2005年にかけては、高い位置から海岸や水辺の小さな人間の姿を撮影し、自然の中での人間の小さな存在を思い起こさせる"On the Beach"シリーズに取り組んでいます。
2006年、ミスラックはアナログフィルムからデジタルカメラへの本格移行します。時を同じくして、彼は写真におけるネガ・イメージの、それ自体の美的可能性の追求に関心を持ちます。

本書に収録されている作品は、その探求の成果となる絶大な美しさを持つシリーズです。風景や自然が、ネガによるまばゆいばかりの美しい色彩で撮影されています。彼のアプローチは、クラシックピアニストであり、著名な写真家でもあるアンセル・アダムスが写真のネガを楽譜に例えたことや、前衛作曲家ジョン・ケージが、1969年出版の「Notations」で、多くの作曲家や芸術家の楽譜を編集してグラフィックアートとして表現したことに触発されたものです。ミズラックは、写真画像のネガを楽譜のように解釈して、抽象化されることにより、多様な解釈が可能だととらえています。本書収録のこの作品群は、アナログ時代の写真表現の終わりへのオマージュともいえるでしょう。

ハードカバー : ‎196ページ、サイズ‎ 38.74 x 3.18 x 29.85 cm、
約92点の図版を収録。

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