WALKER EVANS: HAVANA 1933

Pantheon; American版 1989

Walker Evans(ウォーカー・エバンス)


米国ヴォーグの有名アートディレクターであったアレクサンダー・リーバーマンは、 “センスの良い素人が撮ったようで、カメラマンの存在が全く感じられない自然な写真”が良い写真作品だ と述べています。1940年代当時、彼が実例として上げた写真の1枚が名写真集“アメリカン・フォトグラフス”とともに、この“ハバナ1933”の85ページに収められているハバナ市街のニューススタンドでスーツを着て立っている男性のドキュメントなのです。 リーバーマンはこの写真を評して、これはファッション写真として撮影されたのではないが、明らかにスタイルが提示してある、と表明しています。 この見方は当時としては非常に斬新で、80年~90年代になってファッション写真の評価がやっとリーバーマンに追いつきます。ウォーカー・エバンスのドキュメント写真も新たな見方で評価されるようになりました。 最近は広告でアートディレクターが、エバンスのハバナ的に撮影してくれ、と写真家に依頼することもあるそうです。
写真に対する価値観が多様化したことでこの“ハバナ1933”も色々な楽しみ方ができるようになりました。 ファッションの視点を獲得することでドキュメントを超えた新たな見方が可能になったのです。

オリジナル・プリントの内ヴィンテージ物はかなり高価になっています。この写真集の29ページの"Balconies, Havana 1933"は1988年秋のササビーズのオークションで$8,625.(@110. \948,750)で落札されています。 一方、同じオークションに出た写真集77ページの"Dock Worker, Havana"のモダンプリントは$1,150.(@110. \126,500.)で比較的安く入札されています。同じイメージでもヴィンテージなら値段は3倍以上するでしょう。

ウォーカー・エバンス プロフィール