The Valley

Scalo Verlag Ac, 2004

Larry Sultan(ラリー・サルタン)


ラリー・サルタン(1946-)の"The Valley"シリーズは自らが生まれ育った場所であるとともに、ポルノフィルム産業で栄えている地域として知られる ロサンゼルスのサン・フェルナンド・バレーをテーマとしています。1998年に英国の雑誌"Maxim"の依頼でこの地のポルノセットを撮影したことをきっかけで取り組み始め、 以後、約5年間に渡って撮影し続けたものです。
プロジェクトはポルノ撮影現場のドキュメントを目指したわけではありません。彼はこの地の中流階級の一般住宅がポルノフィルムの撮影に貸し出されていて、 非日常の世界が日常の延長上の中で展開されている点に注目します。中型カメラで詳細に描写された写真には、ポルノが作り出す人為的な感情とともに、撮影現場の住宅の日常生活の断片のようなものまでが取り込まれています。彼は「私はポルノをおとりに使って、郊外住宅地の環境で欲望がどのように見え、快楽や親密さがどのようにイメージできるかに迫った。」 と語っています。
約90点のカラー作品を収録したこの本は、2004年8月にかけてサンフランシスコ現代美術館で開催された写真展にあわせて刊行されました。

ラリー・サルタンは1946年ニューヨーク生まれ。現在、サンフランシスコのベイエリア在住。カリフォルニア大学卒業、サンフランシスコ美術大学修士。現在 Art at the California College of Arts and Craftの教授を務めています。グッゲンハイムなどの数々の奨学金を得て作家活動を続け、作品は全米の美術館で展示、コレクションされています。郊外生活者の写真による探求をテーマに、Evidence (1977)、Pictures from Home (1992)などの作品を発表しています。