Henry Wessel

Steidl, 2007

Henry Wessel(ヘンリー・ウェッセル)


30年以上に渡って、米国西部、カリフォルニアの社会的風景を撮影して高い評価を受けているヘンリー・ウェッセル(1942-)。 本書は彼のキャリアを回顧する写真展が2007年にサンフランシスコ近代美術館で開催されたことを期に刊行されたものです。
ヘンリー・ウェッセルはニュージャージ出身、ペンシルベニア州立大学で心理学専攻後、ガールフレンドの兄弟が持っていたライカで彼女を撮影したことがきっかけで写真に魅了されます。 その後ジョン・シャーカフスキー編の写真集「ザ・フォトグラファーズ・アイ」(1966年刊)との出会いで商業写真家を目指すようになります。1972年にはバッファロー・ニューヨーク州立大学でMFA(美術学修士号)を得ています。彼は、写真家の仕事は社会の混沌の中から秩序を見つけだすことだ、と自作を語り、 自らはリー・フリードランダー、ゲイリー・ウイノグランドらコンテンポラリー・フォトグラファーとともに、画家エドワード・ホッパーにも影響を受けたと語っています。
1971年にグッゲンハイム奨学金を得て、カリフォルニア、ニューメキシコのハイウェーとその周辺部でアメリカ独特の空っぽの風景を撮影します。その作品が注目され、1972年にはニューヨーク近代美術館で初個展を開催しています。 カリフォルニアの光と気候が写真撮影に適していることから、その後サンフランシスコに移住しています。
1975年にはジョージ・イーストマン・ハウスで開催された、写真史上重要な「ニュー・トポグラフィクス」展に選出。これらの作家たちは文明化された自然をテーマに生態学、地勢学的に撮影することからニュー・トポグラファーと呼ばれました。 1978年にはニューヨーク近代美術館で開催された「ミラー・アンド・ウインドー」展に参加。その後、彼の作品は世界中の主要美術館、ギャラリーで展示、コレクションされています。

本書には、1960年代から彼が魅了され継続しているカリフォルニア近郊と西部の広大な不毛地帯の風景や、郊外の無表情な米国自動車文明の探求、90年代からカラーで撮影している特徴のない郊外の住宅、2000年~2004年にかけて取り組んだラスベガスの人工的なインテリアのシリーズなど約130点が収録されています。