Doug Rickard: A New American Picture

Aperture; New版, 2012

Doug Rickard(ダグ・リカード)


米国で多くの論争を巻き起こし話題となっている、ダグ・リカード(Doug Rickard、1968- )の写真集です。彼の写真は一見するとアメリカ・ストリート・フォトグラフィーの伝統を踏襲した普通の作品に見えます。しかし彼の方法論は極めて斬新です。なんと全てはグーグル・マップのストリート・ヴューから流用され新たな作品として提示されているのです。彼は約2年にもわたり、最先端技術が提供する包括的で膨大なヴィジュアル・データベースを使用し、アメリカの見過ごされたり、見たことのない道をヴァーチャルにドライブ。彼の情報を背景にした慎重な視点は、忘れ去られ荒れ果てた場所、経済的に荒廃し見捨てられた土地などを見つけ出し解読していきます。ストリート・ヴューであるがゆえに、カメラの視点は極端に客観的でそれがアメリカの階級や人種の動向を的確に映し出しています。彼は、かつてロバート・フランクやウォーカー・エバンスの行ったロード・トリップをパソコン上で行っているのです。パソコンのモニターを再撮影することイメージを再構成し技術的な出処から作品を解放。写真はソフトな感じでクオリティーはあまり高くないものの、それも本作のコンセプトの一部なのです。

本書のオリジナル版は2010年に、White Press/Schadenから刊行されましたが既に絶版。Apertureによる新版では約30点が追加収録されています。本作はより広い読者の間で、写真家や写真の定義に関して新たな論争を引き起すことでしょう。

ハードカバー: 143ページ、32.5 x 25.7 x 2 cm、
カラー約90図版を収録。