Robert Heinecken: Object Matter

Museum of Modern Art, 2014

Robert Heinecken(ロバート・ハイネッケン)


ロバート・ハイネッケン(1931-2006)は、様々な技法を利用した革新的な作品で、写真によるアート表現の可能性を拡大した米国人アーティストです。現在では当たり前の、カメラを使わないで写真作品を制作したアーティストの走りで、自らを"paraphotographer"(超写真家のような意味)と呼んでいました。また同時に彼は教育者としても知られており、1964年にUCLAで写真プログラムを設立し、自らも1991年まで教授として指導を行ってきました。
彼は60年代からのキャリアを通して、従来の写真というメディアの概念を超えた前衛的な表現を次々に開発。写真のプロセスや材料を、リトグラフ、コラージュ、写真ベースの絵画、彫刻、インスタレーションに拡大していきました。代表作には、写真を分断した後に再構築して制作される3次元のパズル状作品や写真彫刻、ファウンドフォトや雑誌や広告写真を引用した作品、カラーのフォトモンタージュ、雑誌の見開きページを重ね合わせた作品、ポラロイドカメラで広告を再撮影してタイポグラフィー的に並べる作品などがあります。いまでは当たり前の巨大作品にも早くから挑戦していました。彼は大衆文化とその社会への影響、オリジナルとコピーの関係性に強い興味を持ち、作品を通してコマーシャリズム、アメリカ文化、キッチュ、エロチシズム、性などのテーマを探求。写真は制作者の独立した創造物ではなく、あくまでも現在生活の消費主義や杯金主義が反映された文化の一つの形だと理解していたのです。

本書は2014年にニューヨーク近代美術館が開催された彼の死後初めての本格的回顧展に際して刊行。生前、彼の作品は主にアート写真ギャラリーで取り扱われていました。死後に起きた、現代アートによる市場の席巻、デジタル技術の一般化、という環境変化の中で、彼の作品はコンセプチュアル・アートの流れで再評価されるようになります。いまでは、シンディー・シャーマン、ジョン・バルデッサリ、リチャード・プリンスなどの系統だと考えられています。本展開催を期に彼の作品の評価は更に高まるでしょう。

ハードカバー: 188ページ、 サイズ 31.2 x 25.1 x 2 cm、
約300点の図版を収録。