Thomas Ruff:
Photograms and Negatives

Gagosian / Rizzoli, 2015

Thomas Ruff(トーマス・ルフ)


トーマス・ルフ(1958-)は、写真をアート表現の中心メディアへと推進させた現代ドイツを代表する革新的なアーティストの一人です。アンセルム・キーファーやゲハルト・リヒターなどを輩出したことで知られる名門デュッセルドルフ美術アカデミーでベッヒャー夫妻に写真を学んでいます。
代表作は、大判カラーによる友人のポートレート、典型的ドイツ人家庭の室内風景、夜空の星、建築物、新聞写真、ヌードなど。トーマス・シュトゥルートアンドレアス・グルスキー同様にコンセプチュアルな写真作品を制作しています。

本書は、ガゴシアン・ギャラリー・ビバリーヒルズで2014年に開催された個展に際して刊行。今回、ルフはカメラを使用しない写真表現のフォトグラムに取り組んでいます。これは20世紀初頭に、マン・レイやラースロ・モホイ=ナジらが取り組んでいた古典的技法です。従来は、印画紙の上にハサミ、ペーパー・クリップ、リボンなどの物体を置き、感光させることで制作されてきました。ルフはこの手法に魅了されますが、その限界を超えようとします。彼は、3D画像の専門家と共同でヴァーチャルな暗室をデザインし、無限の範囲のフォルムの探求を実践。実在する物体から自由になることで、この新しいデジタル作品では、サイズ、材料、色、透明度をコントロールできるようになります。完成したカラー・プリントは、豊かな色彩を背景に、不透明な影、球面、ジグザグ形、鋭いエッジなどを持つ、謎めいた写真世界になっています。
一方、ネガティブ・シリーズは、彼が継続的にポジとネガのダイナミズムを探求したフォトグラム過程の結果から生まれています。白色とスレートブルーのイメージは20世紀初頭のヌード作品を変換したものです。ルフはデジタル技術を使い、セピア・トーンの鶏卵紙プリントをコントラストが際立つダイナミックなネガのポートレート・ヌード写真に変換します。そして、ポーズをとる被写体を、ブルーと白い大理石のような肌色の彫刻的な物体へと変えていきます。歴史的なテクニックを革新的アプローチで探求しながら、ルフは写真の様々な可能性をさらに広げています。

ペーパーバック: 86ページ、サイズ 28.1 x 0.8 x 32.1 cm、
多数の図版を収録。

トーマス・ルフ プロフィール