Richard Misrach: The Mysterious Opacity of Other Beings

Aperture, 2015

Richard Misrach(リチャード・ミズラック)


リチャード・ミズラック(1949-)は、長年アメリカの様々な政治、社会、文化的問題をテーマに作品を発表している国際的に認められた写真家です。
代表作に、かつては不毛の地だった砂漠環境が文明化による激変したシーンを撮影した"デザート・カントス"シリーズ、北西ネバダで行われていた爆弾実験をテーマにした"Bravo 20: The Bombing of the American West"、荘厳な空を撮影した"The Sky Book"、美術館の傑作絵画の細部を撮影した"Pictures of Paintings"などがあります。
2001~2005年にかけては"On the Beach"シリーズに取り組んでいます。彼は非常に高い位置から海岸や水辺の小さな人間の姿を撮影。自然の中での人間の小さな存在を思い起こさせる非常に影響力のある作品でした。ミズラックは、その後も"On the Beach"と同じロケーションでの作品制作を続け、時間と写真との関係性を探求した"On The Beach 2.0."シリーズを発表しています。

本作はその続編にあたるものです。今回は、抽象的な水面、砂浜、小さな人間ではなく、 海をさまよう海水浴客の、遊んだり、様々なポーズをとっている時のジェスチャーや表情に注目しています。
ミズラックはポートレート作品をめったに撮らない写真家。本作は彼が人物中心の写真に初めて取り組んだものです。それぞれの写真には一人もしくは複数の人間が遠くから描写されています。彼らは海の波のパターンを除いて独立して存在しており、紺碧の海の中で浮遊しているようにも見えます。水中で浮いている人の姿を見ていると、曖昧で不思議な感覚がわいてきます。しだいに彼らは岸に接近しているか、離れていっているのかがわからなくなっていきます。それぞれの作品は、全体をとらえたものと、一部を拡大したものが2枚セットで提示されています。海原に完全に身をゆだねた人の姿は、魅惑的な人類と自然との融合を表現しています。

ハードカバー: 84ページ、サイズ 33.3 x 43.4 x 1.8 cm、
約86点のカラー図版を収録。