Exodus

Taschen America Llc, 2016

Sebastião Salgado(セバスチャン・サルガド)


セバスチャン・サルガド(1944-)はブラジル出身のラテン・アメリカを代表する写真家です。大学で経済学を学び、学者として国際コーヒー機関に勤務後に写真家に転身。彼は徹底的な情報収集による冷徹な現実認識を行い、明確な世界観を持って被写体の内面に入り込んで撮影することで知られています。代表作に、中南米諸国で厳しい状況下に生きる人々をドキュメントした「もうひとつのアメリカ(Other Americas)」(1986年)や、「サヘル(Sahel)」(1986年)、「Workers」(1993年)、「Migrations」 (2000年)、「Genesis」(2013年)などがあります。
サルガドは1990年代に世界中の難民、移民、亡命者を取材しています。作品発表後、約16年が経過した現在でも世界中で人間の移動は続いています。対立の関係はルワンダからシリアに移っていますが、故郷を後にする人々の直面する剥奪、苦難、そして精神的かつ肉体的な苦悩をともなう旅行の先のかすかな希望という構図は何も変わっていません。彼は約6年の歳月をかけて約35か国を訪れ、道路での移動、キャンプ、ときに移民の終着地となる過密なスラム街などをドキュメントします。彼のプロジェクトには、ラテン・アメリカ、アメリカ合衆国、旧ソビエト連邦を離れるユダヤ人、アルバニアへ逃げているコソボ人、ルワンダのフツ族難民、また地中海を横断して欧州に向かうアラブ人、サハラ砂漠以南のアフリカ人らのいわゆる「ボート・ピープル」も含まれています。彼が撮影する人々の表情には、暴力、憎悪、貪欲の痕跡が残るものの、最も厳しい状況の中での人間の尊厳と哀れみを見ることができます。

本書は、サルガドによる世界中の難民、移民、亡命者を記録したプロジェクトの待望の新版です。移民が世界的な問題となっている中、絶妙なタイミングの刊行といえるでしょう。
ハードカバー: 432ページ、サイズ 4.6 x 26.3 x 34 cm、
多数の図版を収録。