■Artist's Story■
アーヴィング・ペン |
PENN, Irving
1917-2009 |
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その後1947年にトップ・モデルのリサ・フォンサグリーブスと結婚。特に1950年のパリ・コレクションの写真はペンのファッション写真の頂点として高く評価されています。彼は単純な背景と北側からの間接光によるニュートラルな明るさを好みました。彼のファッション、そしてポートレートも自然光を強調するために人工光線を使うテクニックを取り入れました。当時としては斬新で、後のファッション写真に多大な影響を与えました。 ペンのイメージが受け入れられたのは時代的な背景もあります。大戦が終了して世の中の価値観が変化しました。ファッション誌の読者も裕福な階級の婦人から若い働く女性になってきたのです。しかしファッション写真はいまだヨーロッパ的な戦前の保守的イメージから脱する事ができていなかったのです。 ペンそしてハーパース・バザーのリチャード・アベドンの作り出すイメージは戦後の新しいアメリカ女性の理想のスタイルが提供されていたのです。 ファッション以外にもペルー、ネパール、モロッコなど世界中を旅行して各地の個性的な民族の写真を仮設スタジオ内の単純な背景で撮影しています。民族衣装や部族の特殊な化粧にファッション性を見出した写真はヴォーグ誌でも紹介され、新しいスタイルのファッション写真として高い評価を得ました。一連の作品は写真集 "Worlds in a Small Room"(Viking,1974刊)にまとめられています。 ペンはその後アート志向を強め、ファッションやポートレートと同じアプローチで煙草の吸い殻や、ゴミを巨大なプラチナプリントで制作しています。普段私たち全く関心を示さない何気ない題材に、静謐な美と質感を作り出すペンのアプローチは現代美術のミニマリズムに通じるものがあります。 一方、ペンは欧米の膨大な数の著名人のポートレート写真を撮影しています。これらは無名の労働者のポートレートと異なり有名人自身の顔が中心になっています。つまりこの場合は個人の顔自体に知名度があることから、ペンは彼らがどんな洋服を着ていてもまったく関心がないのです。 ファッションが個人を特徴づけるメディアだと理解すれば、有名人は顔自身が既に特徴を持っていて、着るもので個性を出す必要は稀薄であるということです。 そのように解釈すれば有名人ポートレート写真も彼にとってはファッション写真の一部なのです。 アーヴィング・ペンの偉大さはファッション写真を洋服を撮影するメディアから、さらに社会、文化をも解釈できるものにしたことといわれています。 現在、彼の作品は世界中の美術館でコレクションされています。1984年、ニューヨーク近代美術館で回顧展"Irving Penn"が行われて、同展はその後12ヶ国の15美術館を巡回しています。 その後、ペンのヴィンテージプリントや資料がシカゴ美術館に寄贈され、1997年に同館で"Irving Penn: Career in photography"が開催。同展は、1999年に東京都写真美術館に巡回しています。 彼のオリジナル・プリントは80年代はまだ数千ドルで購入できました。しかし90年代以降にファッション写真がアートと認識され、 その作家性が再評価され作品価格は大きく上昇していきます。 特に2000年以降は、彼のイコン的な代表作品はややバブル化します。オークションでの最高額落札は2008年春のクリスティーズNYに記録されています。 1971年にプリントされた貴重なプラチナ・プリントの代表作品"Cuzco Children,1948"が落札予想を大きく上回り、約52.9万ドル(約5819万円)で落札されています。 1992年に最愛の婦人を亡くして気分が落ち込んでいた時期もありますが、その後も積極的に作品制作を行うようになります。過去と同じテーマに何度も挑戦しますが二番煎じのものはなく、常に新たな世界を展開させていました。 |