2023-1-20

  

ブルース・デビッドソン

DAVIDSON, Bruce (1933-)

ブルース・デビットソンは1933年シカゴ生まれです。少年時代から写真に興味を持ち、ロチェスター工科大学で写真を、エール大学で哲学とデザインを学びます。 当時の彼はライフ誌に掲載されたユージン・スミスの写真に影響を受けたそうです。 1958年にブレッソン、キャパで有名な写真通信社マグナムに参加、翌年26歳の時に正会員になっています。
彼の50年代の代表作は1959年エスクワイヤー誌に掲載され、最近になって写真集にまとめられたフォト・ルポルタージュによるブルックリン・ギャングシリーズです。

彼は長いキャリアの中でたびたび作品スタイルを大胆に変化させたことで有名です。 60年代には単なるドキュメントを離れ、新たに個人的視点から社会を捉えるスタイルを取り入れ、南部の公民権運動などを撮影しています。 これらの作品が60年代の写真の方向性を指し示す重要な写真展である、“コンテンポラリー・フォトグラファース、社会的風景に向かって”(ジョージ・イーストマンハウス、1966年)にリー・フリードランダー、ダニー・ライアン、デュアン・マイケルス、ゲイリー・ウィノグランドとともに選出されています。

1970年にはニューヨーク近代美術館で "East 100th Street"が発表されています。1966年から68年までハーレムの貧しい人々の生活の中に入り込んで、4X5インチのビューカメラで記念写真の手法で撮影された彼の代表シリーズです。被写体との信頼関係を感じるイメージからは、作家、人間との両方からの 率直さが強く伝わるとともに、アメリカ社会に潜むひずみに対する強いメッセージ性が読み取れます。1970年刊の同名の写真集は2003年に再販されています。 また、彼は1960年代後半から70年代には映画製作も手掛けるようになっています。

80年代にはカラー写真に取り組み、1982年にニューヨーク国際写真センターでニューヨークの現状を地下鉄シーンを通してカラーで 表現した"Subway(サブウェイ)"を発表しています。最近では1995年に"Central Park(セントラルパーク)"を発表しています。 社会的な撮影活動の他"ライフ"、"ヴォーグ"、"エスクアイヤー"などの雑誌や広告でも広く活躍 しています。オリジナル・プリントはオークションでも頻 繁に取引され、ブルックリン・ギャングなど50年代から60年代の作品に人気があります。