2023-1-23

  

エドワード・ウェストン

WESTON, Edward (1886-1958)

20世紀で最も有名な写真家の一人エドワード・ウェストン、彼は1886年イリノイ州ハイランドパーク生まれです。1902年に写真撮影を開始し、17歳のときには既にシカゴ美術館で写真作品が展示されています。1906年からサンフランシスコへ移住し、1911年カリフォルニアのグランデールに写真館を開き、写真で生計を立てるようになります。
初期は当時流行のソフトフォーカスの絵画的な写真を撮影。地元の絵画的写真協会の創立メンバーでした。しかし絵画的スタイル飽き足らず、次第に工場、煙突、橋などの実在感とその構成美に興味を持つようになります。1922年にミッドウエストへ旅をし、アラムコの工場をストレートでシャープに撮影したあたりが転換点になり、完全に絵画的写真から決別します。キャリアの晩年には1922年以前のネガを全て処分しています。 1922年にニューヨークでアルフレッド・スティーグリッツ、ポール・ストランドと知り合います。1923年メキシコに移住しスタジオをオープン、現地の写真家ティナ・モドッティと暮らすようになります。シケイロス、オロスコスなどと出会い、メキシコ民族芸術運動に啓示をうけオリジナル写真へのアプローチを探求しています。1925年にはメキシコのグァダラハーラで個展を開催しています。

彼は暗室でネガをいじらないストレート写真を提唱し、野菜、貝殻、日常のオブジェなどを超写実的にクローズアップで撮影し、自然物の持つ造形美を追求しています。これらの作品の展示で写真家としての評価を次第に確立させていきます。1929年カリフォルニアのカーメルに移住。キャリア上重要なモチーフとなる ポイント・ロボス岬の撮影を開始しています。1930年にはニューヨークのデルフィック・スタジオで初個展を開催、1932年アンセル・アダムス、イモージン・カニンガムらとグループ『f64』を結成しています。8X10インチの大型カメラで、レンズの絞りを最小値のf64にし、撮影対象の究極のリアリズムとフォルムの美を追求した作品は現代写真に多大な影響を与えました。

1938年には写真家で初めてグッゲンハイム奨励金を受けています。その成果は1940年に『カリフォルニアの西部地方』で発表しています。1946年にパーキンソン病になり闘病生活をつづけながら作品制作を続け、1958年に亡くなっています。 彼の名声はキャリア後半に訪れます。1946年にニューヨーク近代美術館で写真展、1956年にはスミソニアン美術館で回顧展が開催されています。

オークションでの高額落札の常連のウェストン作品ですが、1932年にはわずか2ドルの価格でも売れなかったそうです。有名な『Pepper No.30,1930』でさえ当時はわずか12枚売れただけでした。この作品は1999年にはオークションで$55,200で落札されています。 また、2000年4月サザビーズNYで『Tina Modotti's hand Against Kimono,1923』が$313,750.で落札されました。
オークション最高額は2008年4月にサザビーズNYで開催された"The Quillan Collection of Nineteenth and Twentieth Century Photographs"に出品された『Nude,1925』で100万ドル越えの$1,609,000.で落札されています。