■Artist's Story■
クリフォード・コフィン
COFFIN, Clifford
1913-1972




"Clifford Coffin : Photographs from Vogue 1945-1955"

 


コフィンは1913年6月18日米国イリノイ生まれ。その後カリフォルニアのパサデナで成長しました。 ハイスクール卒業後アートに興味があったものの 家族の勧めによりUCLAで経済学を学びました。
彼の写真家になるまでの経歴は現在では考えられない程ユニークです。 ホテルチェーン、MGMで働いた後、石油会社テキサコの仕事でニューヨークに来ました。 そして大都市で暮らす中、写真の経験がないのに ファッション写真家、それもヴォーグで働くことを志すようになります。幸運に恵まれ、ヴォーグ誌のアート・ディレクターであるアレクサンダー・リーバーマン に写真の指導を受け腕を上達、1944年にヴォーグ誌に入社しました。戦争で多くの写真家が軍隊に招聘されたことも大きな理由と思われます。 写真に関してはスタジオで働く傍ら、ジョージ・プラット・ラインスの下で学んだそうです。その後1946年2月から2年間、ヴォーグ・英国版に出向しています。 1948年にはヴォーグ・フランス版に移ります。
戦争で欧州の著名な写真家はほとんど米国に亡命していました。才能のある写真家がいなかったために 当時は米国から英国、フランス・ヴォーグに有能な写真家を派遣することが一般的だったのです。 このシステムは戦前から導入されており、実際ジョン・ローリングスが1937年〜1939年までロンドンに 派遣されています。
欧州時代のコフィンはセシル・ビートンの影響を受けるものの、 ロケーションの多用、撮影演出へのこだわりなど 当時はまだ珍しかった彼独自の手法を数多く実践しました。また当時流行のシュールリアリズム的な手法も 頻繁に引用しています。
1950年にはニューヨーク に戻って、1958年までヴォーグ・米国版、グラマー誌および広告写真で活躍しました。 彼の写真は特に自由裁量が多く与えられていたイギリス、フランス時代の作品群が高い評価を 受けています。

彼はライティングの技術で革新的な手法をもたらしたことでも有名です。これはリング・ライトと 呼ばれる物で、カメラレンズの周りにリング状にタングステン・ライトを設えた物です。 このライティングは撮影する対象物の影をよりなくすことに有用とされました。

彼自身非常にユニークなキャラクターでした。 ファッションもクルーカットのヘアースタイル、ラフで黒ずくめの格好したりと非常に目立っていました。 当時としては珍しく彼自身がホモセクシュアルであることを公表していたそうです。個人的にメール・ヌードの撮影も行っていました。
押しの強い性格で、作品制作への徹底したこだわりにより変わり者と見られることもあったようです。 そしてプライベートでも自由奔放な行動と気難しい言動で知られていました。 当時としては際立って異彩を放っていたようです。コフィンは20年早すぎたファッション写真家であったのです。

1940年から50年代のクチュール全盛時代に、個性的ファッション写真を多数発表したコフィンですが、 1965年のニューヨークのスタジオ火災でほとんどのオリジナル作品が個人的なメール・ヌード写真とともに 焼失しました。当時のファッション写真はアート作品とは認識されていませんでした。それゆえ、作品が残っていないコフィンには 長いこと人々は注目しませんでした。彼の敵を作りやすい個性的な性格も影響したのかもしれません。 それが彼の死後、1986年に英国ヴォーグで多くのネガが発見され、またゲイの理解など、環境が変化したこともあり作家コフィンの 再評価に繋がったのです。

アートとしてのファッション写真再評価の流れに乗り1997年にはナショナル・ポートレート・ギャラリー(ロンドン)で回顧展が開催され話題になりました。
2000年1月に伊勢丹美術館で開催されたクリフォード・コフィン写真展は、その回顧展が巡回してきたものです。 人知れず数十年間もロンドンで眠っていたコフィンのオリジナル作品はこのように時代の価値観が変化したことで 脚光を浴びるようになったのです。 彼がゲイであることが逆にアートとしての作品性を高めるとはコフィン自身、夢にも思わなかったでしょう。


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