2023-1-20

  

マイケル・ケンナ

KENNA, Michael (1953-)

マイケル・ケンナは1953年英国、チェッシャー州ランカスター生まれ。1972年から1976年にかけてロンドン芸術学校で学んだ後、 ロンドンのカレッジ・オブ・プリンティングでプリント技術を修得します。彼は1976年にロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館でビル・ブラント企画の 写真展「The Land」を見たことをきっかけにランドスケープ写真家のキャリア を志します。 1977年より渡米して活動ベースをサンフランシスコに移しています。米国ではヌードと静物で知られる女性写真家ルース・バーンハート(Ruth Bernhard(1905-2006))のプリントの 仕事を約10年間に渡り手伝うようになります。彼女はケンナの作品と人生に多大な影響を与えています。

ケンナの写真は、英国写真史の伝統を受け継ぐ正統派なのに、現実の風景から 異次元空間かと錯覚させられる独自の世界をつくりだし、 見る者に新鮮なインパクトを与えてくれます。しかし興味深いのは、彼にとって重要なのはプリントされた写真ではなく一連の撮影行為と語っていること。 撮影場所に流れる時間を意識した、説明的でない、見る人の考える余地を残した「俳句のような写真」を心がけているのです。

彼は多作な写真家で、世界中を旅しながら常に複数のテーマに関わっています。 完成には7~8年を要することや、ライフワーク化することもあるとのこと。 約30年にもおよぶキャリアで、英国、欧州をはじめ、イースター島、南米、北米、中東、北アフリカ、中国、日本 などで撮影された作品を発表。今までに写真集は30冊以上も出版されています。

高い知名度と、誰にもわかりやすいモノクロ・プリントの美しさから、彼のオリジナル・プリントは 特にコレクター初心者に高い人気です。今までに欧米、日本で100回以上もの写真展を開催。 初期作品は値段も上昇し、オークションにも度々出品されていまが、新作ならいまだ手頃な価格で入手可能です。
作品は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館、フランス国立図書館など40以上の美術館でコレクション。 2000年には、フランス政府より芸術文化勲章シェバリエを受章しています。

日本での主な大規模な個展に、2006年に東京都写真美術館で開催された「In Japan」、2009年に北海道立釧路芸術館で開催された「風景に刻まれた記憶」、2018年に東京都写真美術館で開催された「Michael Kenna, A 45 Year Odyssey 1973-2018」等があります。