2023-10-3

  

Deborah Turbeville: Photocollage

Thames & Hudson, 2023

Deborah Turbeville(デボラ・ターバビル)

デボラ・ターバビル(1932-2013)はマサチューセッツ州ボストン生まれ。ヴォーグ、ハーパース・バザー、ノヴァ、ニューヨーク・タイムズや、コム・デ・ギャルソン、ギィ・ラロッシュ、シャルル・ジョルダンなどの有名ファッション・ブランドでファッション写真を撮影してきました。
日本では1985年に渋谷パルコで開催された「Deborah Turbeville」展やパルコの広告写真で知られています。彼女の作品アーカイブはMUUSコレクションに所蔵されています。なお彼女は日本語では「ターバヴィル」と表記される場合もあります。
彼女の作品は写真の流派やムーブメントに属してなく、ジャンル分けが非常に困難です。 フイルムのアナログ写真時代に、プリントに傷、皺、折れなどの様々な手を加えクラシックで退廃的な雰囲気のファッション・イメージを作り上げた先駆者です。1975年ヴォーグ・アメリカ版掲載の「Bathhouse」シリーズで写真家として頭角を現します。それ以来、40年以上にわたって制作された彼女の脳裏に焼き付いて離れないユニークなビジュアルからは、時代を超越したメランコリー感と風格が漂っています。
キャリア初期からフィルムやプリントをオブジェのように取り扱い、手書き文章を添えたフォトコラージュを制作。 またパーソナルな感覚を重視してファッション写真に取り組んだ最初の写真家の一人でもあります。 従来のかわいい女性ではなく、自立した女性像を持つモデルを好んで起用し、 彼女たちが自分のファンタジーの世界に入り込むのを求めたことでも知られています。 ギィ・ブルダン、ヘルムート・ニュートンとともに70年代のファッション写真に「憂鬱・アンニュイ」や「暗さ」といった要素を取り入れ、 「ファッション写真を前衛芸術に変えた」と評価されることもあります。

本書は、2023年11月3日からスイス・ローザンヌのエリゼ写真美術館(Photo Elysée)で開催される「Deborah Turbeville: Photocollage」展に際して刊行。ナタリー・エルシュドルファー(Nathalie Herschdorfer)キュレーションによるこの回顧展では、 ファッション写真から極めてパーソナルな作品まで、ターバビルの写真表現の探求の過程を紹介し、 彼女の作品がメディアにおけるファッションの表現にどのような変化をもたらしたかを明らかにします。 未公開作品のセレクションを公開するほか、手作りのコラージュ作品にも焦点を当て、 写真史における彼女の貢献について新たな評価を提供します。

ハードカバー : 240ページ、サイズ 30.99 x 2.79 x 26.42 cm、約150点の図版を収録。