2024-3-15

  

Alexey Brodovitch: Astonish Me

Barnes Foundation, 2024

Alexey Brodovitch(アレクセイ・ブロドヴィッチ)

アレクセイ・ブロドヴィッチ(1898-1971)は、ロシア生まれの写真家、デザイナー、教育者でした。1930年に渡米し、1934年から1958年にかけてアメリカのファッション誌『ハーパース・バザー』のアートディレクターを務め、写真を同誌のビジュアル・アイデンティティの礎とするとともに、アメリカにモダンなタイポグラフィとデザインをもたらしました。
またアーヴィング・ペン、リチャード・アヴェドン、イヴ・アーノルド、リリアン・バスマンなど、多くの著名なドキュメンタリー写真家やファッション写真家を指導したことでも知られています。
教育者としては、フィラデルフィアのペンシルバニア美術館およびSchool of Industrial Art(現University of the Arts)、 ニューヨークのNew School for Social Researchで教鞭をとっています。 ヨーロッパの最先端雑誌や代表的デザイン作品を学生たちに紹介し、当時としては異例だった創造的な問題解決という方法論を確立しています。 1933年には、現代的な事例やテクノロジーを用いて革新的なデザインの可能性を探るワークショップ「デザイン・ラボラトリー」を設立。 ブロドヴィッチのユニークな教育法は、非常に多くの著名なドキュメンタリー写真家やファッション写真家に影響を与えるとともに、 マン・レイやアンリ・カルティエ=ブレッソンらともコラボレーションを行っています。

ペンシルベニア州フィラデルフィアの、バーンズ財団は、彼の大きな影響力を探る、米国初の大規模な美術館展「Alexey Brodovitch: Astonish Me」を 2024年3月3日~5月19日まで開催します。 同展では、ブロドヴィッチが20世紀半ばの芸術メディアとしての写真に与えた影響を取り上げ、ヨーロッパのアートとデザインがいかにしてアメリカの新しい印刷文化の基礎となったかを探求。 この見過ごされてきた彼の仕事に焦点を当て、20世紀の写真界を代表する多くの人物とのコラボレーションを考察するとともに、 彼のアートディレクションとグラフィックデザインに対する新たな視点を見出して提示しています。
同展では、世界中のパブリック・コレクションやプライベート・コレクションから100点以上の作品を集めています。

本書は展覧会開催を機に刊行されたカタログです。 イヴ・アーノルド、リチャード・アヴェドン、リリアン・バスマン、アンリ・カルティエ=ブレッソン、アーヴィング・ペン、アンドレ・ケルテスなど、ブロドヴィッチが指導を受け、 コラボレーションしたアーティストの作品を含む、写真、プリント、紙作品、書籍、雑誌がテーマ別に展示されています。 紹介されている年表は、この影響力は大きいが見落とされてきた偉大な人物に関するコレクターや研究者にとって重要なツールとなるでしょう。 ブロドヴィッチ自身の作品については、雑誌『ポートフォリオ』や、モンテカルロ・バレエ団のアメリカ公演を35mmカメラとスローシャッターで撮影した、大胆かつ実験的な写真集プロジェクト『バレエ』など、 彼の個人的なプロジェクト紹介を通して明らかにします。
本展タイトルは、ブロドビッチは何度も "私を驚かせなさい(Astonish Me)"、 "私たちは未来に入り、常に古いものを変え、新しいものを求めなければならない”と、生徒たちに言っていたことからとられています。
同展キュレーターのケイティ・ワン(Katy Wan)は"アレクセイ・ブロドヴィッチは、現代アートディレクションの父と呼ばれています。彼は、今日一般的な手法である型にはまらない実験的なデザインを創り出し、彼自身の作品を通して、また彼が指導した人々に与えた影響により、写真とグラフィックデザインの世界を変えました。私たちは、この展覧会が現代の写真とデザインにおける彼の遺産を確認することを願っています"と語っています。

カタログの編集はケイティ・ワン、エッセーはワンとともにビンス・アレッティ(Vince Aletti)、デヴィッド・キャンパニー(David Campany)が担当。 ペーパーバック(スリップケース入り) : 174ページ、サイズ 22.1 x 2.29 x 33.02 cm、多数の図版を収録。



Alexey Brodovitch: Astonish Me