2025-4-1

  

David Bailey Eighties

Taschen, 2025

David Bailey(デヴィッド・ベイリー)

デヴィッド・ベイリー(1938-)は、ロンドンの下町イーストエンドのニューハム出身です。スウィンギング・ロンドンと呼ばれる、ファッション、音楽、映画、建築などで新しい才能が開花して熱狂していた1960年代の英国を代表するファッション写真家。当時活躍していた、ミュージシャン、アーティスト、俳優など有名人と華麗な社交活動を行ったセレブリティー写真家の先駆けです。被写体の内面を引き出した、親しみのあるシンプルなポートレートは高い評価を受け、ヴォーグ誌などで活躍します。

本書「Eighties」は、ベイリーが80年代に取り組んだ、「ヴォーグ・イタリア」、「ヴォーグ・パリ」、「タトラー」などの数多くの雑誌に掲載された、時代を象徴するファッション写真をまとめたものです。ファッションに楽しさとセクシーさを再導入するために、センスのヒエラルキーを解体したこの10年間の記録と言えるでしょう。 ここでは、アズディン・アライア、コム・デ・ギャルソン、ギー・ラロッシュ、ミッソーニ、スティーブン・ジョーンズ、ヴァレンティノ、イヴ・サンローランなど、この時代を代表するデザイナーたちによるクチュール、キャットウォーク、プレタポルテ・コレクションがフィーチャー。ジュエリーがきらめき、シルクがきらめき、スーツが広がります。著名エディター/スタイリストのグレース・コディントンが序文で言うように、「最も短いミニスカートにパッド入りの肩のジャケット、危険なほどヒールの高い靴」の世界が展開されていました。また最も美しく、最も遊び心に溢れ、無敵で、挑発的なセクシーさを放つ、1980年代の伝説的なアイコンや美女たちが登場。それらは、キャサリン・ベイリー、ナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード、カトリーヌ・ドヌーヴ、ダイアナ妃、ジェリー・ホール、マリー・ヘルヴィン、グレース・ジョーンズ、ケリー・ルブロック、クリスティ・ターリントン、ティナ・ターナーなどです。
いま見られるスクリーン、ランウェイ、コンサートの舞台で繰り広げられる1980年代の文化的な余韻は、当時の最大主義、過剰主義という不朽の遺産を理想的に再文脈化したものだと言えるでしょう。本書では、ベイリーは80年代の解釈者であるとともに案内人を務めます。彼は序文で、「80年代は魔法だった」と述べています。本書で展開される世界では、いまだに当時の魔法が生きているのです。

ハードカバー : 296ページ、サイズ、29 x 3.5 x 37 cm、多数の図版を収録しています。



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