2024-10-31
沖縄・伊江島で米軍に対して非暴力の土地闘争を展開した人物として知られている阿波根昌鴻(あはごん しょうこう、1901-2002)の写真展です。1955年、伊江島では基地拡大を目的とした米軍により、阿波根らの住む真謝区の住民らは住む場所と農地を奪われ、餓死者を出すに至りました。強制的な土地接収とその後も続いた横暴に対峙するために、阿波根らは住民を率いて土地闘争を始め、また島でたった一台しかなかったカメラを代わる代わる使い、軍事演習が引き起こす被害や米兵による暴力等を撮影、記録しました。著書には、『米軍と農民』(1973年)、『命こそ宝 沖縄反戦の心』(1992年)など、唯一の写真集に『人間の住んでいる島』(1983年)があり、カメラとペンによる詳細な記録を遺しています。
東京工芸大学では、『人間の住んでいる島』の編集を手がけた張ヶ谷弘司氏のもとで保存されていたプリントを収蔵すると同時に、残されたモノクロネガフィルム約3600枚をデジタル化し、新たに銀塩プリントを制作。ネガの中には、伊江島の日常のスナップや住民たちのポートレイトが数多く含まれています。
本展では、阿波根が守りたかったものが何だったのかを垣間見ることができ、また写真史的にも稀有な記録であるモノクロ作品約50点が展示されます。